画一化されたマンションの間取りに不便を感じられておられたお施主様は、ご自分たちの趣味や生活スタイルに合った住まいを長年求めておられました。朝起きて寝るまでの1日を、心から楽しんで過ごしたかったのだと思います。好きな場所で本を読み、家族と一緒にキッチンに立ち、時々お茶をたてて心を整えたい。そんなご要望にお応えしたお部屋です。

 

五角形のコンパクトな和室は、千利休の待庵をイメージして素朴なつくりにしていますが、お施主様の遊び心を随所にちりばめています。畳の下は収納としても利用できます。なんと、入口の柱はお部屋と同じ五角形です。斜めに配したホールは敢えて梁の高さに合わせて天井を低く抑えました。これにより、扉の奥のLDKへと目線と心が導かれていきます。LDKの空間をより魅力的に感じることもできます。LDKに入って左側の本棚は、大樹を想像してデザインしました。お家の中心に家族を見守る大きな古木がある。目には見えませんが、枝葉を伸ばして、いつも家族を暖かく見守ってくれますように。生活感のあるエアコンのダクト配管やテレビは障子で隠すことができます。LDKでは梁の存在を感じさせない工夫をしました。

 

家族用の動線はウォークスルークロゼットとパウダールームを利用することで、無駄なく合理的にまとめました。お部屋中を回遊できる間取りはさまざまなシーンで有効活用できるはずです。ご家族やお友達とワクワクした毎日を。かけがえのない一日をこの部屋で。